2020.2.27

舌を見て体を診る『舌診』とは

中医学には、「舌診(ぜっしん)」と言って舌をみて病状を判断する一つの方法があります。舌は「内臓を映し出す鏡」と考えられていて、舌の苔の状態や色、歯型の有無などや舌のサイズなどをみることで、体の中の状態をうかがい知ることが出来ます。

中医学では「舌は身体の鏡」と考えられ、気血水や五臓の状態が映し出されると考えられています。舌はその日の体調によって毎日変化します。毎朝チェックしてみることで体調の変化を読み取り、健康維持に役立てることができますよ。

舌は、色みと色の濃さ、厚み、歯痕、苔と苔の色とそのつき具合、舌の裏側から静脈が張っていないかどうかなどをみます。

正常な舌とは、薄いピンク色で、白い苔が全体に薄くついている状態で、適度に湿っていること。薄くも、厚くもない状態です。ではそれらをどう見たら良いのか解説します。

色は淡い、赤い、両側だけ赤い、暗い紫、白いなど
淡い(薄い)⇒血の不足、
両側が赤い ⇒気の巡りの低下(ストレス過多等)、
暗い紫、シミ⇒血の流れの悪化
白い    ⇒陽気不足で温めるエネルギーの不足、
紅い    ⇒熱、

血の流れの悪さは、単に血がドロドロしているのか、気の巡りが悪くなって血の巡りが悪くなっているのか、冷えて流れないのか、量がたりずながれがチョロチョロと悪いのかを見分ける必要があり、赤くて熱を持っているのは、感染症や炎症などの熱か、潤い不足で冷ますことができなくなった相対的な熱かを見分ける必要があります。

また、舌先が赤いのは睡眠が足りないか、浅い状態です。睡眠中に休まるはずの五臓の「心」が休めず熱があり、心を反映する舌先が赤くなります。

形状は歯型やサイズ、裂け目の有無などを

歯形があって、全体的に大きく膨らんでいるようなときはエネルギー不足を疑い、歯型に加えて厚いべとべととした苔がみられる場合は、いらないものが溜まった状態を考えます。舌が小さいのは、血の不足で、表面に裂け目があるのは乾燥して潤いが不足しています。

苔は、有無や厚さや色

無いのはこれも乾燥しているので潤い不足です。ところどころはがれているのは、エネルギーと潤いが両方足りていない場合です。厚くべとべとした苔があるのは、白い苔なら、寒タイプの痰湿。黄色いなら熱がこもった痰湿です。どちらにせよ、ドロドロとした必要のないものが溜まっている状態。白い苔なら温めて流れるようにします。黄色苔は熱を除去しながら排泄させます。

舌の裏は静脈の状態を

2本の太い紫色の静脈が張った状態では、血の流れが悪くなった瘀血を疑います。こぶがあるのも瘀血です。瘀血の場合は、なんで流れが悪くなったのかを考え対策を打ちます。

健康”と言える舌の状態。淡く赤く、薄く白い苔がまんべんなくついていて、適度に湿り気が有り、少しだけ舌の縁が赤いが、歯型もない。

相談時に舌をみて、「眠れてないでしょう?」とか、「喉渇くでしょう??」とか、「ストレスたまってますね~」というととてもびっくりされますが、中医学をという種も仕掛けも学んでしまえば誰しもが出来ることです。舌診はもっと細かく見ることが出来ますが、まずは色と形と苔の状態と舌の裏の静脈の状態を観察してみてください。

黄色い苔は熱が溜まっています。悪夢を見たり、皮膚症状が悪くなったりしていないでしょうか。熱をとるキュウリや冬瓜、トマトなどやドロドロをながす海藻類などもおすすめです。苔は食が溜まっている状態なので、まずは食に気を使ってください。辛いもの、味の濃いもの、甘いものなどは避けましょう。

舌が紫色で舌の裏の静脈が紫に張っていれば、血流が悪くなっています。青魚、ラッキョウや玉ねぎなど血流を良くする食べ物を積極的に摂り、運動をするようにしてください。

舌の両側が赤いのは、ストレスがかかり、気の巡りが悪くなっています。イライラが抑えきれなくなっていませんか?香りのよいお茶やアロマでリラックスを。お風呂で半身浴などもおすすめです。辛いものは避けて、酸っぱいものをとりましょう。かんきつ類なども香りもよく、おすすめです。

舌に亀裂がある方は、潤い不足です。寝汗やドライアイ、ドライマウス、便秘やほてりなどがみられませんか?潤いは水やお茶からはなかなか吸収できませんので、野菜をたっぷり食べるようにしましょう。

このように、舌を診るだけでもずいぶんと身体の状態はわかってしまいます。是非毎朝の健康管理に役立ててみてくださいね。